1.「ペルソナ」とは何か
心理学用語を元にしていますが、要するに「理想とする仮想の人物像」のことです。
この彼(彼女)が具体的であるほど、この人物がすること、この人物に仕掛けたいことがはっきりします。
2.なぜ「ペルソナ」を作るのか
ペルソナを作る一番の利点は、「彼(彼)に対して、どういうことをしたら、どういうことを考え、どういう風に動くのか」が分かりやすくなることです。
つまり、自分が欲しい結果に対して、何をしたらいいのか、を想像しやすくするためにペルソナを作るのです。
3.「ペルソナ」の作り方
ペルソナはできるだけ具体的に作る方が良いとされています。具体的に、というのは、実在しそうな、と置き換えても良いです。
具体的には、以下のような項目を考えていきます。
・出生地
・育成地
・現住所
・年齢
・性別
・性格
・趣味
・価値観
・職業(役職)
・友人関係
・家族構成
・生活環境
・職場環境
・好み(好き/嫌いなもの)
なぜここまで具体的にするかという例として、東洋経済に掲載された「京急×東大タッグ「三浦半島振興」研究の中身」という記事を挙げておきます。
この例では、三浦半島に観光客を呼び込むという施策において、ペルソナマーケティングを利用しています。この中で作られたペルソナに基づき、
・どの場所に
・どのようなタイミングで
・どのようなデザインの
キャンペーンを貼るかを考え、作り込んでいきます。
このような「ターゲットを絞る」目的において、ペルソナマーケティングはより効果を発揮します。
4.「ペルソナ」を動かす
これまでに作ったペルソナの行動や考え方をなぞることで、ペルソナに対して何をすべきかを考えます。
ペルソナを動かす時は、担当者一人などで行うことは避け、できるだけ多くの人間を巻き込むことが必要です。できれば、ペルソナに近い項目を持つ人に一緒に考えてもらうとペルソナの人格の行動や思考をなぞりやすくなります。
ペルソナは、理想的なユーザーが具体化したものです。旅行のキャンペーンのユーザーであれば、どのようなタイミングでどの場所を通り、何に目が行きがちで、どのように考えるか――などを考慮することで、より効果的なキャンペーンを張ることができるようになるはずです。
「どんなメディアをどんなタイミングで見るか」「普段はいつ、どんなルートを通って行動するか」「趣味や仕事のためにどんな情報を集めているか」「どんなタイミングで触れた情報を好意的に受け止めるか」...などなど、はっきりしているほど効率的、効果的に考えられるようになります。
5.「ペルソナ」を育てる
ペルソナはより具体的な指標となる一方で、誤ったペルソナは誤った情報を提供し続けてしまいます。難しいのは、ペルソナは正しいのにアプローチ方法が間違っているのか、ペルソナが間違っていてアプローチ方法は合っているのか、判断しづらいことです。
また「だいたい正しいペルソナ」と言うのもあります。具体化の際に一部の項目で理想的なユーザー像からずれてしまったペルソナです。
そもそも、当初はほぼ正確なペルソナとして作られたキャラクターであっても、状況が変わることでペルソナを変えていく必要がでてきます。例えば、大きな要因としては想定する利用鉄道の接続が変更になったり、流行が変わったり、数年運用する中で年齢層が変わったりといったことが考えられます。
また、ペルソナマーケティングで思った通りの結果が得られないが、ある程度の改善があった場合には、ペルソナを作り直すより修正変更を加えた方が良い場合があります。これを「ペルソナを育てる」と言います。
ペルソナの育て方には、次のような方法が考えられます。
・項目の入替(再設定)
・項目の追加(削除)
「項目の入替(再設定)」は、例えば性格や好みなどの設定に無理や微妙な想定の違いがあった場合に、内容を入れ替えたり、変更したりすることです。例えば「甘党」という設定をして広告に反映したが内容と集客の好みや行動とかけ離れていた場合に、実際の集客の年齢や行動に即して内容を変更したりします。
もちろん、現状と多少かけ離れた部分があったとしても、本来の目的を達成するためにペルソナを作っている場合には、ペルソナそのものではなく、キャンペーンやマーケティングといった集客手法の改善を検討することが可能です。ペルソナマーケティングの本質からは離れてしまい、既存の広告などに近い手法ですが、どちらが効果的かはどのような結果を得たいかによると言えます。
「項目の追加(削除)」は、例えばある広告を見せて訴求を図りたい場合に、思ったほどの効果が得られなかったような時、どの路線からどのような状況であればそれを目にする効果が高まるか、住んでいる場所、最寄り駅や乗換駅から広告までのルートなど、ペルソナの設定を掘り下げ、より大きく強いマーケティング効果を狙う時に行うようなものになります。
女性誌が好きなペルソナを設定していれば、最寄り駅で買った雑誌が乗換駅に着くまでにどの程度読み進んでいるかを考え、雑誌の広告と駅の広告を連動させたり、店頭商品と広告を連動させて目につきやすくしたりといったことを考えます。
以上のように、ペルソナとは、「ある一人の人間がどのように情報にアクセスし、その影響を受けるか」を考えるための手段であると言えます。
ペルソナマーケティングを突き詰めることで、情報の連動性を考えるいいきっかけになります。
ぜひ、機会があれば、ペルソナに触れてみてはいかがでしょうか。
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